ShareBasedのコミュニティ学

WEBとリアルが融合したコミュニティを、どう運営すれば良いかの実験の記録です。

コモンズの悲劇と石巻の漁師とコワーキングスペース

コミュニティが衰退するパターン

コミュニティがうまくいかなくなるのは大体同じパターンです。

 

・特定の人に負担がいきまくる

・特定の人が場所やものをつかいすぎる

・誰もが問題だと思っていることが長い間放置される

・ルールが徹底されない

・目的を共有できない人、場を荒らす人が増える

 

心当たりあります?僕はめっちゃあります(笑) これってなんなの?どうにかならないの?とすっごい悩んでいたので今日はその話です。

僕のコワーキングスペースは共同運営という形をとっていますが、最初特に役割分担をしていませんでした。結局は見るに見かねた人が掃除をしたり、ゴミを捨てたり、イベントを色々開催したり。でもそれも1−2ヶ月は続くんですが長続きはしない。

よく使うメンツというのは決まってくるので、自然と彼らがよくいる場所というのも決まってきます。小規模の時は問題ありませんが、あまりにイベントが多くなってくると「行っても使えない」ということも増えてきます。

今はよっぽどないですが、最初の頃はネットワークビジネス的な人も混ざってきました。ネットワークに限らずこの場を「ひとが集まる場所=リスト」と見るような人が混ざるともう、荒れるしかありません(笑)

それはコモンズ(共有地)の悲劇と呼ばれそこらじゅうで起こっている

この辺りは「コモンズ(共有地)の悲劇」という言葉でまとめることができます。

アメリカの生物学者、ギャレット・ハーディンがサイエンスに寄稿した論文が元です。

牛を放牧している土地で牧草の取り合いになって、それぞれが牛を増やしまくり、結局牧草がなくなるっていう話です。結果として全ての関係者が損する。

石巻の漁業のコモンズの悲劇

石巻の魚の卸の若大将に話を聞いた時も同じようなことを聞きました。その時は震災から半年も経っていない時で、がれきの山もそこらじゅうにありました。「畳上げたら友達の死体が入ってた、なんて日常茶飯事だったよ」「石巻の漁港全てがダメージを受けて、船はどっかいった」という悲惨な現状を話してくれていましたが顔のどこかに明るい印象を受けていたので、めちゃめちゃ失礼だとは思いつつ「大変不謹慎なんですが、どこかこの現状を楽しんでいたりしますか?」と聞きました。すると

「まあ、それはあるかもね。だってさ、そうじゃなくても石巻の漁業は5年以内に立ち行かなくなってしまっていたはずなんだ。漁師ってハンターでしょ?魚がいたら獲るよね?みんなが獲りすぎると、魚は減る。すると稚魚しかいなくなるんだ。稚魚は値がつかない。めっちゃ安いんだよ。でもさ、他に獲る魚がいなかったらどうする?獲るでしょ。だから、もう、魚いなくなる予定だったんだ。」

「そういう現状を変えたくても漁協は全く動いてくれなかった。たとえば一番儲かるのはカキの養殖。実際にやらなきゃいけないのは、極論すると、朝ぶらっと見に行って「お、ちゃんと育ってるな」と確認したらあとはパチンコしにいくんだ。でも漁業全体はうまくいってないから国からお金が降ってくる。補助金という形で。そういうのは何に使われているか?そういうおっちゃんたちの家のテレビが新しくなったり車が新しくなったりするんだ。でね、このあたりの既得権益は特定の枠が決まっている。新しい人には手に入らない。当たり前だけど手放したくないんだ。管理漁業してるっていうけどさ、実際いわしの漁獲量の枠(これ以上獲ってはいけないという上限)は実際に存在するいわしより多いんだよ?(笑)」

「だから、俺たちの声はずっと届かなかった。見ないフリをしてきたんだ。でも、今のこれがあったでしょ。全部なくなっちゃったんだ。だから選択肢ができた。"同じルールをもう一度つくるか、全く新しいものにするか"。俺たちの発言の余地が生まれたんだよ。そういう意味では、俺は楽しんでいるのかもしれないね。友達が死んだのは本当に辛い。俺も死のうと思ったよ。でも生きてるんだから何かしないとね。」

まさにここで起きていたのはコモンズの悲劇。解決策は?

ここまで深刻じゃないにしても、オープンアクセスの共有地において同じことが起きます。どうやったらそれを防ぐことができるのか?とずっと考えていましたが、以下の三つが大事なようです。

1. 場所が続くことのためには私利を捨てれるリーダーが現れる(めっちゃむずい)

2. 過去にコモンズの悲劇でひどい目にあったメンバーの割合が増える(めっちゃむずい)

3. ローカルコモンズにする(まだやれるかも・・)

 

というわけで次回はこの三つについてもう少し書きます。