ShareBasedのコミュニティ学

WEBとリアルが融合したコミュニティを、どう運営すれば良いかの実験の記録です。

<プロジェクタビリティ(3)>無限鍋とソシャゲーに見る、質の高い出会い。

前回の記事ではプロジェクトとはそもそも何なのかについて書きました。
 
終わりがあり、また始まるのを繰り返すのがプロジェクトです。だからこの二つの質にこだわるのが重要だと思います。
 
今回は出会いの質について。
 

何も生まれない場所

プロジェクトがはじまりやすい出会いをイメージするのは難しいですが、何も生まれなさそうな場所については簡単に想像できます。
 
・誰が面白いかを競う合コン
・おたがいをリストだと思っている異業種交流会
・お互いを敵視して自慢合戦しているスタートアップの集まり
・自慢話しをしたいだけのOB会
 
うぉぉぉぉ。。。考えただけで寒くなってきました。。僕ほんっとーーーにこういう場所が嫌なんです。。何も生まれない。貴重な人生の時間をそんなとこに費やすなんてどうかしてるぜ。。
 
ただ、多様な人と出会っているのは確かです。何がこの違和感を引き起こしているんでしょう?
 
別にこういう場所でなくても、何も生まれない場所はあります。
 
・カフェ
・レストラン
・雑貨屋
 
人は沢山いても、会話は生まれないですよね。
 
職場はどうでしょうか?毎日顔をあわせるし、必ず経営陣の意図があって相乗効果があるはずと思われてチームアップされているはずです。ここでの出会いはどうでしょう?
 
競争の空気があればギスギスするし、ウマが合わなければ顔を合わせるのも嫌だし、仕事以外で絡むのはちょっとな。。と思う人もいますよね。会社としても、生産性があるかわからないプロジェクトを勝手に進められては、人件費の無駄遣いになりかねないです。
 
多様性だけじゃだめ。会話が生まれてもだめ。競争があってもだめ。プロジェクタビリティという話において、何が出会いの質を引き下げているんでしょうか?それが分かれば、質の高い出会いというのも見えてくる気がします。
 

その時間がクオリティ・タイムかどうか 

質の高いかどうかはクオリティ・タイムかどうかだ!
 
って言っても質をクオリティに言い換えただけでいまいちなんですが。w これはアメリカの精神科医のウィリアム・グラッサー博士の選択理論に出てくる話です。(僕、基本的に選択理論は悪くないと思うんですが、選択理論信者はちょっと苦手な人が多いです・・これはまた別に機会に)
 
信頼関係をつくるにはステップがいろいろあって、結構忘れがられがちなのがファーストステップに来るべきこれだなと。その条件は以下のようなものです。
 

クオリティ・タイム 

①努力が必要なもの 
 ジョギングやウォーキングなど。テレビを見る・音楽を聞くなどは適さない。 
②お互いに価値があると認めているもの 
 お互いの上質世界に入っているものであることが重要。 
③相手に意識が向くもの 
 互いを意識しないものは、クオリティタイムにならない。 
④繰り返し行えるもの 
 一ヶ月に一度より一週間に一度。理想は毎日繰り返し行えるようなものがよい。 
⑤限られた時間で行えるもの 
 継続性が大切なので、一回の時間は短くていい。 
⑥話題は安全なもの(対立が生まれないもの) 
 活動中に会話をする場合には、対立が生まれないようなものにする。 
⑦批判しない 
 相手を馬鹿にしたり非難したりしない。
 
うーん、で、結局何?って感じです。先にクオリティ・タイムじゃない時間は、例えば映画。

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そんなに努力必要ない。お互いに意識向けてない。価値があるかどうかは見てる映画による。男女で行くとどっちかに合わせるっていうことが多いですが。w

 

逆にクオリティ・タイムな時間ってなんだろう?と思ってsharebase.InCでも実験していました。たとえば、鍋なんかはよかったです。

 

www.sharebaseinc.com

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みんなが具材を持ち寄る限り、無限に続ける無限鍋。これのいいところは、初めての人でも入りやすいことです。僕もそうなんですが、初めての時って気後れしちゃうんですよね。輪にはいってけるかなあとか。でも、具材を持っていれば、それが武器になる。肉もってきたらヒーローです。10時くらいにうどんとかもってきたらもう「神・・・!」ってなります。あと、やることない時って気まずいじゃないですか。鍋があれば、なんとなくアクをとってみたり、片付けしてみたり、やることいろいろあるから紛れるんですよね。

当時はそんなに意識していませんでしたが、クオリティ・タイムには合致しているかなあと思います。

異業種交流会、ってなると相対しちゃうんですが、この場合相対するのは鍋。みんなで同じものに向かいあうので、お互いを警戒することはないですし、競争することもありません。合コンも、男と女に分かれて「さあ、みんなで出会いましょう!」みたいな設定をつくっちゃうから変な競争心が出てきてつまらない場所になっちゃう。対立が生まれれば、クオリティは低くなっちゃいます。

時空を超えたクオリティタイム・ソシャゲー。

うちの母はGREEにはまっています。僕はほとんどソシャゲーはやらないんですが、彼女はよく同じ仲間で宝探しに行っていたようです。

で、2011年の3月11日ですが、例の地震で彼女の宝探し仲間も被害を受けていました。福島の人だったんですが、「ごめん、避難所で電池もうすぐなくなっちゃうからもうプレーできないかも・・・」という仲間に対して、母親は僕に電池を水を送るように命じました。「さすがに避難でゲームどころじゃないだろ・・・」と思いながらダンボールにいろいろ詰めていたのを覚えています。

また、うちの母は車いすなのですが、仲間の一人が岡山で車いすをつくっているらしく「今度はそこに頼もうか」と言っていました。

これって結構すごい話です。時間も空間も共有したことのない人から物資が送られ、またそういう人から仕事の発注が、信頼できるからとくるわけです。ただ宝探ししてただけなのに。

課金とかガチャとか言ってますが、僕はソシャゲーの一番パワフルで恐ろしいところはこちらだと思います。つまり、時空を超えて信頼関係の第一ステップを構築できる。ソシャゲーが到達できる最も大きなマーケットはこの信頼で結ばれたコミュニティにおけるP2PのEコマースだと思います。

おー、この辺はめっちゃ語りたいんですが、本筋とずれてきてしまったので別の機会で。

とにかく、クオリティ・タイムっていうのが質の良い出会いをつくっているよね、ということです。そしてその信頼関係のベースがなければプロジェクトが生まれる土壌がそもそもないと思います。

鍋を食べながら、またゲームでもしながら、なんでもない会話から「いや〜、やっぱりスターウォー○のあのシーン再現したいよなあ!」と話が出た時に「おー、そういえば昨日も同じようなこと言ってるやつがいたな。センサーとかに詳しいやつなんだけど」「マジで!紹介してよ!!」みたいな流れはsharebase.InCでしょっちゅう起きています。

肩書きも、対立も何も関係なくイチ人間としてその場を楽しめて、純粋にお互いのことに興味が持てる時間。

鍋じゃなくてもいいですし、ゲームじゃなくてもいいです。とにかく、上のクオリティ・タイムを設けるのに使えそうな、人と人の間に挟める媒体があると、出会いの質は高くなるのではないでしょうか。