ShareBasedのコミュニティ学

WEBとリアルが融合したコミュニティを、どう運営すれば良いかの実験の記録です。

<プロジェクタビリティ(1)>人が多ければいいっていうわけじゃない。

僕をずっと悩ませてきたことはコワーキングスペースのようなリアルな場の意味合いってなんなんだろうということです。

すっごくざっくり言うと、コワーキングスペースってまずもってワーキングスペース、働く場所なんですよね。それにコミュニティの機能がついたもの。Co-EdoさんがCW理論というすごく良い表現をされていましたが、そのバランスをとらないといけない。

コワーキングスペース茅場町 Co-Edo: コワーキングスペース運営者が意識すると良いかもしれないCW理論について

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で、まあCW型になりましょうっていうことだと思うんですが、何のためにCW型なんか目指すんでしょう?そこに仲良くできるワーカーがたくさんいて、楽しいとは思うんですが、それがなんなんでしょう?というかそもそも僕がやりたいのはコワーキングなんだっけ?という疑問がふつふつと湧いてきました。

 

僕がやりたいのはコワーキングなんだっけ?

僕がやりたかったことは、会社で許されないことを会社じゃない場所でする、ということです。会社で許されないことっていうのは

「それって生産性あるの?」とか

「それってマーケットあるの?」

とかいう正論に答えられないことに労働力を割くことです。当たり前ですよね。僕が社長ならそうなります。

「生産性?わかんねっす。」と言い切れる場所。NGが許される場所。マーケットがわからない中で動いて、失敗できる場所。それを笑いあえる場所。共有して学べる場所。会社のリソースではできないことができる場所。

それは、未来が不確実な時に頼りになるのは、新しいことをする経験値だと思うからです。創造の経験値です。だからこれが実現できないとそもそも立ち上げた意味がないです。そういう意味では研究開発の部門にいけないので自分でそういう場所をつくるしかなかったというだけです。

2012年:sharebase.InC工事中。奥に謎のゲーム台があるという。

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The More the Betterじゃない世界

経営のことを考えると普通に会員を集めればいいんです。勧誘して。ただ、たくさん集まったら嬉しいかというのはやっぱり違うんです。

 

僕が勤めていたリクルートという会社は、大きく二つに分かれます。人材系と販促系(これHR以外の人が見たらキレそうだな・・・)。この二つで大きく思想が違います。

※これ、完全にわかりやすく言うだけなので、他意はないのをわかってくださいね!

たとえば誰かが引っ越しをしたとします。仲介するカウント1ですね。彼は実は世界の貧困を救うための事業をやっています。それでもカウントは1です。仮にヤクザだったとしたら?それでもカウント1です。

たとえば誰かが結婚したとします。仲介するカウント1ですね。彼らが聖人だろうが悪人だろうが購買してくれればそれがカウント1です。

この世界ではthe More the Better、つまり多ければ多いにこしたことはない世界です。

人材だとちょっと違います。たとえ面接に100人が来たとしても、全員ヤクザだったらちょっと勘弁してほしいわけです。求人広告の担当者は「100人も来たんですね!効果絶大ですね!」と言いたいところですが、実際は「ふざけるな!」という感じです。

たとえ1人だとしても、超特A級のプログラマだったらものすごく嬉しいです。多くの人と面接する手間も省けるし。

人材と販促で大きく違うのは「誰が」が影響するかどうかです。人材では「誰が」がかなり大きく影響します。

 

同じように、コワーキングスペースというか僕がやりたい場所にも「誰が」が大きく影響します。そして「誰が」は目的によります。CW型のスペースになって、結局何がしたいんでしょうか?

じゃあどんな人が集まって、どんなことが起きることがいいことなのか?

という話をずっといろいろな人と話していた時に、浜松のアーティストの鈴木一朗太さんという方が使っていた言葉がしっくりきました。それがプロジェクタビリティです。

Ichirota Suzuki | Facebook

 プロジェクタビリティとはProject + abilityで、鈴木さんの造語らしいですが、

「プロジェクトの発生しやすさ、その土壌の質」

のことを言っています。

つまり、多くの人が集まったとしても、そこで新しいプロジェクトが生まれなければプロジェクタビリティは低い、ということです。たくさんの人が集まってワークしていても、仲良く手も、プロジェクトが生まれない場所は評価が低いということです。

逆に、当然ですが少数の人だけだったとしても、今までにない新しいプロジェクトが生まれればプロジェクタビリティは高くなります。この指標は僕の中では一番しっくりきています。

僕の違和感はずっとここだったんです。

好きな合コンと大っ嫌いな合コンがあります。パーティも。飲みにいくのも特に好きじゃありません。でも、めちゃめちゃいい飲み会だったな!と思う時もあります。

よく考えれば、どんな場所だったとしてもプロジェクタビリティが高い場所は好きだった、というだけでした。

ではプロジェクタビリティの正体、それに貢献しているものはなんでしょう?これは鈴木さんとも話していて結論が出ていませんが、僕なりの仮説とその詳細をここでアップしていきたいと思います。

2015年:sharebase.InC、奥ではLA名古屋合同のバーチャルリアリティプロジェクト、手前では納屋橋の再開発の話など。プロジェクタビリティはちょっとは出てきたんじゃないでしょうか。

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予告:プロジェクタビリティの中身

仮説は

プロジェクタビリティ=出会いの質 × 出口の質

です。よくわかんないですよね。次回以降それぞれについてもっと詳しく書きます。

ついでに言うと、人はすくないほうがいい的なことを言ってるように見えたらアレですが、結局人を集めようと思うとプロジェクタビリティが必要になってくるんです。その辺も含めて。

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