ShareBasedのコミュニティ学

WEBとリアルが融合したコミュニティを、どう運営すれば良いかの実験の記録です。

<ハイブリッド経済(4)>airbnbが「ラグジュアリーな旅」の定義を更新している。

商業経済と共有経済のハイブリッドは本当に可能だろうか?という点で僕はいささか疑問だったんですが、実感値として、あ、これは可能だなと思ったのがairbnbでした。
 

共有経済でブーストする商業経済、airbnb

airbnbというのは誰でも自分の物件を掲載して宿泊施設にできるWEBサービスです。サンフランシスコを拠点にするスタートアップです。カウチサーフィンをご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、airbnbは有料です。

www.airbnb.jp

 
今は断然海外の人たちが使っていることが多く、泊まりに来るのは大概外国人です。
 
sharebase.InCでは2014年の8月から部屋の一部を提供しはじめました。
 
という話をすると、「どうなの?儲かるの?」と話をされますが、僕的には「儲けようと思えばそれなりに儲かる。でも本当に儲けたいならバングラデシュで不動産でも買うよね。」って感じです。
 
僕としてはわざわざビジネスの時間をあててやっているわけじゃないんです。
 

海外旅行する代わりにairbnbをする

そもそも僕は海外旅行が大好きで、airbnbはその代替品なんです。そこからして誤解がある。
 
旅行しようと思うとまず長い休みをとらないといけません。その間に稼げたであろう収益もないことになります。当然飛行機代もホテル代も払います。で、僕の場合目的は何かというと各地で友達がほしかったりするわけです。そんな僕が飛行場に降り立って、その辺の人に向かって「やあ!僕は日本から来たんだ!僕と友達になろうよ!」って言っても、まあ向こうはドン引きですよね。
 
でもairbnbを使っていると、文字通り座って、シーシャでも吸ってるだけで、エレベーターがチーン!と鳴って「Hello!」と毎日違う国からお客さんが来ます。
 
話すことと言えば「名古屋のどこの店が美味しい?」って聞かれるので「そこのひつまぶしは名古屋最古らしいよ。」みたいな話をするだけで「Wow! ローカルな人からローカルな、観光ガイドに載ってない情報もらった!」と盛り上がってくれます。
 
僕の方はといえば、本当に世界一周旅行でもしてるかのようです。
 
多いのは香港、次にドイツ。アメリカ、イタリア、フランス、ドイツ、シンガポール、タイ、フィリピン、ドミニカ共和国などなど。。まだ始めて半年くらいですが、多くの国から泊まりに来ています。

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 ソファに座ってるだけで世界のコアな情報が聞ける

Hackerに来て欲しいと書いているので、それなりに変わった人たちが来ます。盆栽マニアのエンジニア、食虫の研究者、アニメオタクも相当来ます。タイ人のケンは同い年だったんですが、遊んでたゲームがスト2だったりバーチャファイターだったりモロかぶりでした。ドイツ人のリナはコスプレイヤーで、僕よりもエヴァンゲリオン詳しいです。僕はナルトの最終回を楽しみにしてたのでネタバレ情報^_^シャットアウトしてたんですが、まさかのドイツのほうで早く手に入れたらしく、不意に彼女の投稿で「ナルトの最終回が残念な件」みたいなのを見てしまいました。そこからもネタバレくるのか!と。
 
香港からは毎月2人くらいは来ていますが、ほとんど雨傘革命世代なので、毎回「俺、昨日まで最前線にいたんだよ。」とか言う人ばっかり。すっかりイエローリボンのお土産も増えました。面白いのは「通信が傍受されるからP2P回線を使ったアプリが流行ってる」と聞いた次の月に「やっぱりそれも傍受されてるらしいからあんまり使わなくなった」とか。笑 最新情報が続々集まってきます。
「今度リーダーがつかまる…どうしよう。」とか。とにかく生々しい情報を、僕はそこまで求めていなかったんですが、くれました。

diamond.jp

 
これは驚くべきことで、本来香港に行って前線で収集しなきゃいけないような情報を、名古屋にいる僕に定期的に報告しにきてくれているんです。
 
LAのマイクは姉妹都市である名古屋との架け橋になるために何度も泊まりに来てくれています。Oculas Gear VRを使って名古屋とLAをつなごう、ということでハリウッドの映像制作チーム、フランスのサウンドチーム、日本のプログラミングチームで今一緒にVRコンテンツを作っています。
 

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tsumiki.squarespace.com

 
なにより、これだけ恩恵をくれていながら、帰りには(当然ですが)お金を置いていくという。笑
 
さらに、大体帰る時にはfacebookで友達になって「ドイツ来るときは絶対おれんち泊まりにこいよ!」みたいになります。宿泊先とガイドゲットです。
 
仮に日本がダメになって亡命しなきゃいけない、となっても今はまだ僕は安心感があります。アジアにも欧米にも満遍なく泊まり先ができてきているからです。それをお金をもらいながら、余分な時間をさしてとらずに、名古屋にいながらやっています。
 
本来お金をかけて得るべきものを、お金をもらいながら得ている。
 

ラグジュアリーな旅とは何か?が変わってきている。

商業経済と共有経済の両立は難しいと思ったんですが、
 
商業経済・・・ホストとゲスト
共有経済・・・外国の友達、情報源、その先にあるネットワーク
 
という形でハイブリッドが成立しています。
 
当然airbnbでは単に物件を貸してほとんど旅行者には会わないという人もいます。これは僕としてはめちゃめちゃもったいない話です。airbnbの良さはこのハイブリッド感にあるのに、結局商業経済しか体験していない。
 
ゲストにとってももったいない。これは、「本当にラグジュアリーな旅とは何か?」が変わってきているということです。綺麗なホテルに泊まって満足できる時代じゃなくなってきています。同じお金を使うなら、ローカルな文化を知ったり、現地の人が食べてるものを食べるほうが本物感があるし、旅の醍醐味があるものです。観光客向けに「こういうのが欲しいんだろ?」的にあつらえたものは簡単に見透かされてしまいます。
 
ラグジュアリーな旅っていうのは新しい関係性が得られる、帰った後も「あいつ元気かなあ」と地図を見ながらニヤニヤできる、世界地図がもっとカラフルになる、そんな体験だと思います。
 
他にもハイブリッドで繋げれるポイントはいくつかあると考えています。が、これも繋げ方が本当に大事です。下手すれば、笑顔あげるから1万円の話になっちゃいます。(以下のブログ参照)

 

sharebased.hatenadiary.jp

 

 
次回は音楽においてハイブリッド経済が適用できないかを実験した話をします。